第3章 新しい生活
「…菜々美、次いくよい。」
『うん!』
「電伝虫には他にも色々と種類がある。
例えばこの黒い小さいやつは黒電伝虫。盗聴用だよい。」
『盗聴?』
「あぁ。海軍の通信とかを拾う。
まぁ、そもそもウチの船見つけたら離れていくから殆ど盗聴まで漕ぎ着けられることはないんだがねい。」
『へぇ、、、』
盗聴もできるのか、、、
「で、この白いやつは白電伝虫と言って、盗聴を妨害する念波を発している。ウチの船には1匹しかいない。
コイツは希少なんだよい。」
『なんだか、むすっとしてる…。』
「まぁ、そう言う顔なんだよい。
…で、コイツは映像電伝虫。映像をこっちの投影型の映像電伝虫に伝えて、見た映像をスクリーンに投影できるんだよい。」
今までの電伝虫とは違って、目がぱっちりだ。
…めちゃくちゃ目が合う。
「…他にも色々と種類はあるが、菜々美が目にするのはコレくらいだろう。」
『そうなんだ。………ねえ、マルコ兄さん。
電伝虫ってやっぱりカタツムリで生きてるのよね?』
「そうだよい。」
『…なんだか、受話器付けられたり、船に乗せられたりしてちょっとかわいそう…』
「あー、、、その辺は大丈夫だよい。
コイツらは俺たち人間に飼われると、食と安全が保証されるから捕まることを嫌がらないんだよい。
その証拠に、見ろ。逃げ出す気配すらない。」
逃げていいよと言わんばかりに開けられたドアに見向きもせず、定位置であろう寝床に戻って葉っぱをもしゃもしゃと食べる電伝虫達。
なによりもご飯が大切らしい。
『…ふふ、それなら大丈夫ね。』
「あぁ。嫌がる素振りを見せれば野生に返してやるから安心しろよい。」
『うん!』
「よし、今日の勉強はこれで終わりだよい。
よく頑張ったな。」
マルコ兄さんは私の頭を優しく撫でてくれた。