第3章 新しい生活
それからしばらくイゾウ兄さんの部屋で談笑して、夕飯を食べに食堂へ向かった。
イゾウ兄さんはマルコ兄さんに話してから来るそうだ。
「お、菜々美、勉強お疲れさん。
どうだった?マルコとイゾウの勉強会初日を終えて。」
『楽しかった!』
「うげぇ、勉強だぞ?」
『知らないことを知るって面白い!
びっくりすることもたくさんあるし、興味が尽きないの!』
「ひ〜。俺は絶対無理だ!
勉強嫌い!身体動かしたりする方がよっぽどいい!
はい、晩飯。」
『ふふ、ありがとう。』
「後ろにクルーの奴らがお前と仲良くなろうとスタンばってるぞ。」
その声に振り向くと、昼間よりも多くのクルーが集まっていた。
本当に私は恵まれてるなぁ。
「菜々美!一緒に飯食おうぜ!」
『うん!私でよければ!!』
「「よっしゃぁ!!」」
それから10人くらいのクルー達と食卓を囲んでいろんな話を聞いていた。
船で何かやらかしたら必ずマルコ兄さんの雷が落ちるだとか、今までに訪れた島の話だとか、沢山面白い話を聞かせてくれた。
お腹が痛くなるくらい笑って、食事もそろそろ終盤を迎えた頃、食堂の扉がものすごい音を立てて開いた。
バン!!!
「菜々美!!!!」
『ふぇっ!?』
大きな声で名前を呼ばれてびっくりして、箸で持っていたブロッコリーを皿の上に落としてしまった。
「オイ!扉壊れるだろ!!もっと丁寧に開けやがれ!!」
サッチ兄さんの怒号が響く。
急な音に食堂は静まりかえっていた。
私は背が低い上、みんな大きいから見えていないはずなのだが、、、大声で私の名を呼んだ張本人ーーーーマルコ兄さんはツカツカと靴音を立てながらまっすぐこちらへやってきている。
「オイ菜々美、なんかしたのか?」
『えぇ!?してないよ!多分…何も……』
小声で隣のクルーが聞いてくる。
正直なんの覚えもない。
「あ、」
『あ、』
とうとう私の前までやってきたマルコ兄さん。
ガシッ!
「菜々美!お前、計算手伝ってもいいって、本当かよい!!」