第3章 新しい生活
『でね、明日からは船のお手伝いもするの!』
「そうか。よかったな。
ただ、甲板に出る時とかは本当に気をつけるんだぞ?
海を舐めるとただじゃ済まない。」
『はーい。』
「じゃ、そろそろ勉強後半戦、始めるか。」
私の拙い話をずっと聞いてくれていたイゾウ兄さんは、数冊の本と紙を持ってくる。
「ペンと筆、どっちがいい?」
『ペン!』
私はペンを、兄さんは筆を持ち、紙に向かう。
「マルコの話や菜々美の話を聞く限り、菜々美のいた島はどうやらワノ国の文化と外界の文化が混じっているようだな。
話す言葉は同じだが、書く言葉は違う。」
『うん。』
「それも、ワノ国の文化とはいえ、菜々美の書く文字はかなり昔のワノ国で使われてたものなんだ。
今の、、、少なくとも20年ほど前のワノ国ではすでにこういう文字が主流だ。」
そう言って見せられたのは一冊の本。
題材は【嘘つきノーランド】物語のようだ。
「読めるか?」
『うーん、ちょっと待ってね?』
私はパラパラと絵本を捲りながら、1ページずつイゾウ兄さんと確認して読み進める。
『…ノーランドは最期まで嘘をつくことをやめなかったのです。
どう?合ってる?』
「ん、合ってる。全部読めたな。
因みにどうやって読んでるんだ?」
『うーん、、、私の記憶?の中ではね、この文字は英語って言うの。
英語って言葉の意味はわからないけど、そう呼ばれる文字だった、、、気がする…
それで、この文を今話してる言語に訳して読んでる。』
「なるほどな。
記憶として覚えてはいないが、脳がこれを作業として覚えてたんだな。」
『そうかもね。』
勉強した記憶もないのに自然にできるなんて、変な感じ。
「ん、、、イマイチ言語については現状把握しかできないが、話せるなら日常生活に大きな問題はないな。
この船には読み書きもままならないやつも多いから。」
『そうなの?』
「あぁ。島によっては教育は上流階級の嗜みって文化もあるしな。
それに、海賊やってて読み書きなんてできなくてもしゃべりさえできれば対して困らねぇ。」
『へぇ。そういうものなんだ。』