第3章 新しい生活
大きな体に見合わないほどおろおろとして、だんだんと声が小さくなっていった。
周りの人達も下を向いてソワソワと落ち着かない様子だ。
そういう私も初めて話す人で、知り合いがいないからかなり緊張している。
『はい。…どうぞ。』
「あ、ああ、ありがと、な。」
別に断る理由も無いので返事をして、スペースを空けた。
男の人たちはいそいそと席につく。
「急にごめんな。驚いただろう?」
「俺達、みんな妹できたって聞いて、、話してみたいって、みんな思ってたんだが、いつも隊長達と一緒にいるから話しかけにくくて、、、」
「そしたら今日は1人だったから、チャンスだ!と思って、、、」
『そうだったんですね。話しかけてくださってありがとうございます。』
「俺たちだけじゃないんだ。ほら、みんなこっち見てる。」
そう言われて振り返ると、ギクリと体を震わせて身体を背けるクルー達。
「みんな怖がられるのが嫌で話しかけられないんだ。
ほら、俺たちでかいし顔も厳つい奴が多いから。」
『そんな…素性もわからない私を受け入れてくれたこの船に怖い人なんていないです。
私の方こそ、挨拶もしないでごめんなさい。』
「そ、そうか//
この船にはナースしか女は乗ってないし、ナース達はおっかねぇ強気な女だからなぁ。
イマイチ接し方わからなくて中々話せなくてな。」
『気にしないでください。
これからは船のお手伝いも沢山するので、仲良くして頂けたら私も嬉しいです。』
「「よっしゃぁ!!」」
急に大きな声が聞こえて驚くと、後ろの席でご飯を食べていた人たちが一斉に声をあげていた。
「やっと妹と話せるぜ!」
「隊長達ばっかりずるいよな!」
「菜々美!なんでも聞けよ!」
「俺たちも隊長達と同じお前の兄貴だ!!
気軽に話しかけてくれ!」
「なんったって、仲間で家族だからな!!」
初めてこの船に来た時の宴では緊張してて、そもそも人とあまり話せなかった。
最近は隊長達と一緒にいた。
だから知らなかった。
私のことをこんなにも暖かく、迎えてくれる人たちが沢山いるんだ。
私、本当にここに来てよかった。
私はみんなといろんな話をしながらお昼を食べた。
お腹も胸も満たされて、幸せだった。