第3章 新しい生活
「で、菜々美はなんでこんなとこに来たんだよい。」
『お手伝いでもしようかなぁ、と。
あ!マルコ兄さん、ちがうよ!
昨日みたいな仕事って意味じゃなくて!
勉強終わって暇だったの。お昼には早いし、何かすることないかな〜と思って。』
「あー、確かに。休んでていいとか言われてもなぁ。
菜々美の部屋なんもねぇし。
やることなきゃ暇だよな。」
「そういうことかよい。
まぁ、掃除やら洗濯やら、雑用っぽい仕事は何人いても困らないからねぃ。
好きにしていいよい。」
『やった!ありがとう!!
…ナミュール兄さん、お手伝いしてもいい?』
「あぁ。助かる。」
「じゃ、俺たちは帰るよい。
昼飯食ったらイゾウのとこ行けよ。」
『はい!』
「ナミュール、菜々美のことよろしくな。」
「おう。」
サッチ兄さんとマルコ兄さんはそう言ってそれぞれの仕事場に帰って行った。
「さっき洗濯物回し終えたから、これを甲板に運んで今から干そう。
そっちのカゴ持ってついてきてくれ。」
『うん!』
私は小さなカゴを持って兄さんの後ろを歩く。
前を歩く兄さんは私の5倍以上のカゴを軽々と持って歩いてゆく。
階段を上がったところのドアを開くと、2階のデッキに出た。
そこでは8番隊の隊員さん達が丁度洗濯物を干すためのロープを張り終わったところだった。
「干し方は適当でいい。
シワだのなんだのを気にするやつはイゾウだけだ。
それに、アイツは自分で洗濯するからな。
とにかく乾きやすいように適当に干しといてくれ。」
『はーい。』
私は洗濯バサミを使いながら自分のものより遥かに大きな服達を干していく。
天気がぽかぽかしてて、風に揺れる洗濯物も気持ちよさそうだ。
『ねぇ、ナミュール兄さん。
魚人って、やっぱり泳ぐの得意なの?』
「あぁ。俺たちは海の中でも普通に呼吸ができる。
それどころか、海中でも生きていけるからな。」
『すごい!いいなぁ。
私も海の中お散歩してみたい。』
「なんでだ?」
『だって、海の中や空なんて、普通に生きてたら絶対に行けないでしょう?
だから、そんな風に簡単に行き来できるのはすごく羨ましい!』
個人的には海の中を散歩したり、空を飛んだりするのはかなり多くの人が夢見ることだと思う。