第3章 新しい生活
「いいか。菜々美。
まず安心しろ。あいつは死なない。」
『本当?』
菜々美は不安気に顔をあげる。
まだ瞳は潤んでいて正直すげぇかわいい。
「あぁ。大丈夫だ。」
『でも、マルコ兄さんが治せないって、、、』
「それはマルコの言い方が悪かったんだ。
確かに、肌の色は治せないが、それには理由があるんだ。」
『理由?』
「菜々美が今まで会った奴らにも、規格外にでかい奴とかいっぱいいたろ?
そいつもそう言う特殊な種族だ。
肌が青いのも、異様に体温が低いのも、そういう特徴を持つ種族だからだ。」
『種族…』
「そうだ。コイツはお前が会いたがってた、8番隊隊長、魚人のナミュールだ。」
『ギョジン?』
「うーん、、、簡単に言えば、魚と人の間の種族だ。」
『魚と!』
「そうだ。すごいだろ?」
『うん!すごい!!』
魚と人の間…
我ながら随分と適当な説明だが、菜々美の目が羨望の眼差しでキラキラと輝いているので良しとする。
『ナミュール兄さん。さっきは勘違いしてごめんなさい。
先日からこの船でお世話になってます。黒咲菜々美と言います。
よろしくお願いします。』
「あ、あぁ。こちらも挨拶が遅くなって悪かった。
8番隊隊長のナミュールだ。サッチの言う通り、魚人だ。
…怖くないのか?」
『怖くは、、ないです。
この船には色んな人が乗ってるし、、、正直今更っていうか、驚きはしましたけどね。』
「ハハッ、今更、か、、、そうか。」
菜々美はここに来て沢山驚いたからな。
随分と順応性が高くなった。
ナミュールは面白そうに笑って、菜々美の頭を撫でた。
その手には確かに魚のような水掻きがあった。
お前の心配は杞憂だったみたいだな。
『マルコ兄さんも、、、ひどいこと言ってごめんなさい。』
「いや、別にいいよい。」
ウチの長男はそんな微笑ましい2人を見て表情が最高に穏やかだった。