第1章 プロローグ
ガチャーーーガン!
『?』
鍵を開けようとした。
でも、、、閉まった。
今日は私が最後だから開けててくれたのか?
もう一度私は反対に鍵を回して、鍵を開けた。
ドアノブを捻って中に入る。
『ただいま〜!』
?
おかしい。
靴はちゃんと4足あるのに、誰も顔を覗かせない。
どうしたんだろ。
私はそのまま、奥のリビングへと足を進める。
『お母さん、お父さん?ただいま〜』
ガチャ
『っ!ひ、、、、』
お父、さん、、、?
お、母さん、?
そこには血塗れで倒れる父と母。
少し横を見ると、同じように血に塗れた兄の姿もある。
そして、その3人を一瞥し、とてつもなく冷たい目を向ける男。
手には刃渡りの大きな包丁。
『あ、、、あぁ、、』
体が動かない。
床に貼り付けられたように、私の体はただ震えるだけで、頭は何も機能しない。
男がゆらりとこちらに近づいてくる。
奥歯がガチガチと音を立てる。
怖いのだろうか?
わからない。
何もわからない。
男が近づくにつれ、錆びついた鉄のような匂いが鼻腔を駆ける。
嫌だと思うのに体は動かない。
嫌だと思うのに、冷たい目から目が逸らせない。
男が表情一つ変えることなく、包丁を振り上げ、私の首筋めがけて振り下ろした。
私はそれを、まるでスクリーンを見ているかのように、呆然と見ていた。
「っ、、菜々美っ!ガッ」
『え、、、、』
ブシュッ!!!!
ボタ、、ボタタタ、ベチャ、、、
顔に生暖かい感覚。それより、目の前にいる、真っ赤に染まったそれは、、、
『おにぃ、、ちゃ、』
ドン!
「菜々美!逃げろ!!、ゴホッ、、」
お兄ちゃんは私の胸を押して、私の足を無理やり動かした。
『ぇ、』
「はや、く!!、、行け!!!」
私は弾かれるように玄関に向けて走った。
真っ白な頭の中、ただ、兄の言う通り、玄関へと走った。