第3章 新しい生活
俺は今日、洗濯当番だった。
いつものように隊の奴らと洗濯機を回して干していたら、どっかの隊のやつがベルトごと洗濯機に入れやがって、洗濯機の部品が取れた。
地面に座ってそれを探していたら、洗濯室のドアが開いた。
『あの〜、もしお邪魔じゃ無ければお手伝いさせて欲しいんですけど、、って、えぇ!?』
「!?」
聞こえてきたのは野郎どもの野太い声ではなく、高く綺麗なソプラノ。
この前できたはじめての妹だった。
まずい。彼女はまだ魚人を知らない。
怖がらせてしまった。
今、俺が何を言っても怖がらせるだけで無駄だろう。
俺がどうしようか焦りまくっていると、見当違いな言葉が聞こえてきた。
『ちょ、え!大丈夫ですか!!』
ん?
菜々美は躊躇いもなく俺に近づき、俺の肌に触れた。
人の体温は高く、触れられたところが熱い。
『大変!ちょっとここのタオル借りよう。
少し待っててくださいね!すぐにマルコ兄さん呼んできますから!
あ、気持ち悪くなったら我慢しないでくださいね!!』
「あ、いや、俺は、、、」
『じゃあ、すぐ戻るんで!』
魚人の体温は人と比べて低い。
それに驚いたのか、俺を洗濯済みのタオルにぐるぐる巻きにして走って出て行った。
……どうしたものか。
俺はとりあえず自分に巻かれたタオルをたたみ直していた。
ドタバタという足音とともに帰ってきた妹と彼女に連れられてきた長男。
『ダメですよ!じっとしてないと!
マルコ兄さん呼んできました。あとこれ、スープです。
飲めそうだったら飲んでください。』
「あ、いや、俺は、、、」
おそらく低体温症か何かと勘違いされてる俺。
いや、俺は至って健康なんだが、、、
「…ナミュール?」
あぁ。マルコが神がかって見える。
正直、展開が急すぎてどうしたらいいかわからない。
俺は色々な意味を込めて言った。
「マルコ…助けてくれ、、、」