第3章 新しい生活
『ゔっ、流石にそれはできないけど、、、でも!海賊でもサッチ兄さんみたいにご飯作ってくれる人とかちゃんといるし、、、
それに!サッチ兄さんから洗濯ものは各隊で持ち回りって聞いたよ!
そのお手伝いくらいなら私もできる!』
「まぁ、その通りだが、、、」
『何もしないでただ面倒見てもらうだけなのは流石に気が引けちゃうよ、、、』
「…」
海賊船であるこの船に私が居ても、マイナスにしかならない。
そんなことは分かってる。
でも、今更放り出されても生きていく力なんて私にはない。
だから、この場所でどうにかして必要とされる場所が欲しかった。
力も記憶もない私が何を頑張ったとしても、船にとってマイナスであることは変わりはないけれど、少しでもゼロに、プラスに近づけたいと思った。
「…菜々美、お前が考えることもわかるよい。
だがな、俺たちはお前を乗せることで生まれる利益の有無でお前を家族にしたわけじゃねぇんだよい。」
『それは、、、わかってる。』
わかってる、
恐ろしいくらいみんなが優しくて、私がいくらマイナスな存在でも船を下ろすことはないことくらい。わかってる。
その優しさとか、暖かさとかがわかってるから、辛いんだ。
「まぁ、どうしてもってんなら、仕事はやるよい。」
『本当!』
「あぁ。だが、勘違いするなよい。
次の島での買い出し分の金はやるし、これからのお前の生活費も小遣いも、仕事の対価としてやるわけじゃねぇ。」
『?どういうこと??』
「…家族に金払って仕事させる気はねぇってことだよい。」
ニヤリと笑ってこちらを見る兄さん。
その言葉にハッとさせられた。
私は今、兄さん達の家族を侮辱した、、
そんなことする家族は確かに、家族じゃない、、、
『兄さん、ごめんなさ「まぁ、父親や兄貴達が妹可愛がるのは自然の摂理だ。お前は黙って末っ子らしく甘えとけよい。」
マルコ兄さんは私の謝罪を遮って、頭に手を乗せてポンポン、と、優しく撫でてくれた。