第3章 新しい生活
マルコ兄さんはまだ少し仕事が残ってるそうで、私はジョズ兄さんと一緒に食堂へ向かった。
朝早かったから実は腹ペコだ。
ガチャ
扉を開くと、良い匂いが立ち込める。
目を開くと、そこは、、、、、
「オイ!その肉俺のだぞ!!」
「るせぇ!ぼーっとしてるからだ!」
「おま!玉ねぎ俺の皿いれるなよ!!」
……戦場だった。
「あー、、、悪いな、菜々美。朝はマルコとイゾウと食ったんだったか。
…やっぱ海賊だからな、、こんな奴らが大半だ。」
ギャーギャーと騒ぎ、笑いながら大量の食べ物を頬張る船員達を指差してジョズ兄さんは呆れ顔で言う。
兄さん曰く、隊長達は幾らかまともだそうだ。
…お酒さえ入ってなければ。
「ん?ジョズに、、、菜々美か!」
『わっ!』
後ろから声をかけてくれたのはビスタ兄さん。
今日もお髭が立派だ。
「あー、ラッシュにダブったか。
仕方ねぇ。さ、おいで、菜々美。」
ビスタ兄さんに手を差し伸べられる。
困ってジョズ兄さんを見上げると、黙って頷かれた。
手を取れってことで良いのかな?
恐る恐るビスタ兄さんの手に自分の手を添えると、ぐいっと引き寄せられてビスタ兄さんが歩き出した。
するとどうだろう。
あれだけ人がいっぱいで通り道なんてなさそうだったのに、私の体は誰にも触れることなく、スイスイと人の間を通り抜ける。
びっくりしてビスタ兄さんを見上げると、ニヤリとした笑みを浮かべられた。
「お、ラクヨウ。隣、空いてっか?」
「あぁ。
お、菜々美か!ちょっと待ってな。
オイ!サッチ!!!お待ちかねの菜々美来たぞ!!!」
ラクヨウ兄さんは厨房に向けて大声でそういう。
ガヤガヤと周りはうるさいし、聞こえないだろう。
厨房忙しそうだし、あとでいいよ、そう言おうと口を開いた。
「何!?菜々美来たか!待ってたぜ!」
サッチ兄さんは額に汗を滲ませてこっちまですごいスピードで駆けてきた。
清々しい笑顔で出迎えてくれて少し気恥ずかしい。