第3章 新しい生活
「コイツ、ずーっと待ってたんだぜ?
菜々美はまだか、菜々美はまだかって。」
「だってよぉ!今朝ちょっとしか話せなかったんだぞ!?
すーぐイゾウとマルコが連れてっちまうから。
…よし、ちょっと待ってな!すぐ持ってきてやる!!」
そう言うと、サッチ兄さんは私の返事を聞く間も無く駆けて行った。
「ハハッ慌ただしいヤツで悪いな。」
『ううん、サッチ兄さん面白い。
ビスタ兄さん、さっきはありがとう。ここまで連れてきてくれて、、、』
「こちらこそ、菜々美のような可憐な女性をエスコートできて俺の方こそ身に余る光栄に感謝したい程さ。」
『可憐って、、、それに、エスコート//』
慣れない言葉がおおくて少し恥ずかしい//
「お待たせ〜
サッチ兄さん特性、オムライスプレート!
今から卵焼くけど、半熟と完熟どっちがいい?」
『ん〜半熟!!』
「よし!ふわふわなの作ってやるからな〜、見てろよ?」
サッチ兄さんはフライパンにバターを落として、溶き卵を入れた。
持ち手をトントンと叩きながら形を整えていく。
「いくぞ?」
『え!?』
ニヤリとこちらを見たかと思えば、私の前に置かれたチキンライスの乗ったお皿目掛けて卵が飛んできた。
ふわりとチキンライスの上に着地した卵は真ん中が割れて丸く広がった。
『わぁっ!!すごい!!!』
「だろー?
さ、召し上がれ。」
サッチ兄さんはそう言って私にスプーンを差し出してくれた。
私はひと言、いただきます、と呟いてオムライスにスプーンを入れる。
ひとくち口に含むと、ふわふわで軽い卵とトマトの甘味と香りと酸味のあるチキンライスが絶妙なバランスで、もう本当に本当に
『美味しい!!!』
「よっしゃぁ!」
私は続けて二口、三口と食べ進める。
本当にほっぺたが溢れるくらい美味しくて、スプーンが止まらず、あっという間に食べ終えてしまった。