第3章 新しい生活
「オヤジ!俺だよい!!」
「入れ。」
私とマルコはお父さんの部屋に来ていた。
やっぱり、何度見ても大きな扉。
ガチャ
「どうした、マルコ。」
「あぁ。ちとオヤジに見せたいモンがあってねぃ、、、
ほら、菜々美。」
「ほぅ…」
マルコ兄さんは背中に隠れていた私を前に出るように促した。
なんだか緊張して、マルコ兄さんの服の裾をキュッと掴んでしまう。
「グララララ、イゾウに着せてもらったか。
よく似合ってる。綺麗だ。」
『ありがとうございます//』
「グララ、ほら、もう少し近くで見せろ。」
私はちょこちょことお父さんの近くに行く。
やっぱり大きいなぁ。
『わっ!』
お父さんは私を膝の上に乗せてくれた。
やっぱりお父さんはあったかくて、安心する。
「見れば見るほど綺麗だなぁ。
その綺麗な黒髪には和服がよく映える。大切にしろよ。」
『ふふ、イゾウ兄さんも同じこと言ってました。』
「グララララ!そうか!流石俺の息子だ!!
…どうだ。この船の生活は。不自由してることはないか。」
『海賊船だって聞いた時はびっくりしたけど、みんな優しくて良くしてくれてるので大丈夫です。』
「んぁ?海賊船だって言ってなかったか?そりゃぁ悪かったな。」
『いえいえ。』
…少しの沈黙の後、低くて優しい音が空気を振るわせた。
「…菜々美。俺は誰だ?」
『え?…お父さん?』
「そうだ。俺はお前のオヤジで、お前は俺の娘だ。
俺は心からそう思ってる。」
急に真剣な顔つきになったお父さん。
話の意図が分からなくて、首をかしげることしかできない。
何かしてしまったのかと言う不安も頭をよぎる。
「だから、それ、やめろ。」
『え?』
それ?
「敬語も、遠慮も、何もするな。
俺ァいつでもお前の味方だ。もちろんお前の兄貴達もだ。
何も心配するこたァねぇ。誰もお前を追い出したりしない。不安も何も隠す必要はない。吐き出してみろ。随分楽になるぜ。」
『お父、さん…』
私は私を優しく見つめる黄金色の瞳を見上げた。
それはまるで陽だまりのような暖かさがあった。