第3章 新しい生活
私があーだこーだと言って貰えないと言っていると、見かねたイゾウ兄さんが私の両肩に手を置いて、後ろから耳元で声をかけてきた。
「…ほら、どれがいい?」
『〜っ!』
耳に直接囁かれる低音の声。
あぁ。きっと私の顔は今真っ赤だろうな、、、
「ククッ早く決めないと、マルコ、待ちくたびれちまうぞ。」
『〜っ!これ!これにします!!』
「クククッ、わかった。ソレ着るなら、帯は、、、」
イゾウ兄さんは私の選んだ着物に合う帯をいくつか見繕ってくれる。
私はぼんやりとそれを眺めていた。
「よし、こんなもんか。
じゃ、まずは、肌襦袢と裾除け、あと長襦袢ってのを着るんだ。
所謂和服用の下着だな。
俺はちょっと出てるから、下の下着はそのままで、上の下着は脱いで、それら着たら教えてくれ。」
そう言ってイゾウ兄さんは部屋から出ていった。
へぇ、和服って上の下着つけないんだ、、、
まぁそうだよね、昔はこんなのなかっただろうし、、、
?昔???
ハッ、イゾウ兄さん待ってる。早くしないと。
私は渡された襦袢?達を形でなんとなく着方を想像しながら着ていく。
?これで合ってるのかな、、、?
コンコンコン
「お嬢、どうだい?着れたか?」
『あっ、、えっと、多分???』
「失礼するよ。」
イゾウ兄さんはひと言断って入ってきた。
「ん、ちゃんと着れてる。
…ただ、、、やっぱ菜々美細いな、、、
和服ってのは寸胴の方が着やすいんだ。
ちょっとタオル巻くよ。」
『あ、はい、、、』
それからイゾウ兄さんはお腹にタオルを巻いて、私に着物を羽織らせてなんか、紐で結んで、なんとか巻をつけて?
途中でわからなくなっていったけど、とにかくぐるぐると布を巻かれて、仕上げに、帯の上から帯締め、という綺麗な紐を巻いて完成だ、と言われた。
「ん、できた。
よく似合ってる。見違えたな、、、」
イゾウ兄さんは満足げに笑って、私に鏡を見せてくれた。
着物と帯が凄く合っていて、イゾウ兄さんが綺麗にしてくれた髪がキラキラと光を放つ。
くるくるとその場で回っていると、イゾウ兄さんがニヤリと笑っていて、それを見つけて私は赤面した。