第3章 新しい生活
「おっ、来たか。待ってたよ、お嬢。」
『お邪魔します。』
イゾウ姉、、兄さんの部屋は和室だった。
畳の匂いと、何かのお香の匂いがする。
「イゾウ、済んだら診察するから医務室連れてこいよい。」
「あぁわかった!」
「それじゃ、菜々美。また後でねい。」
マルコ兄さんはそう言ってドアを締めた。
「さて、まずは髪だったな。そこ座りな。」
イゾウ兄さんはなんだかとても楽しそうに私の髪を手でくるくると触る。
私は指された椅子の上に座って、目の前の鏡越しにイゾウ兄さんを見た。
見れば見るほど綺麗な顔立ちで、男性だと言われたら凛々しさが際立って見えて、少し印象が変わってくる。
と、鏡越しにイゾウ兄さんと目があった。
「そんなに見られると照れるな。」
『わ、、ごめんなさい。』
「ククッ、、、菜々美の髪は綺麗だな。
艶やかな黒で白い肌によく映える。手触りも絹のようだ。
こんなに綺麗なんだから、大事にな。」
『…はい、、ありがとうございます//』
面と向かってそんな風褒められたら照れてしまう。
チラリと鏡を見ると、私の顔は真っ赤に染まっていた。
「…さっきマルコが診察するとか言ってたからな、、、
今日は整えるだけにしておこうか。」
『あ、はい!よろしくお願いします。』
イゾウ兄さんは始終楽しそうに、綺麗な櫛を何度も私の髪に通していった。
すっかり寝癖やうねりの直った髪は、昨日とはまるで違って、光を受けて光沢があった。
「ほら、髪は終わりだ。」
『…綺麗。ありがとうございます!』
「あぁ。どういたしまして。
さて、、、着物だが、結構要らないやつがあってな、、コレ、貰ってくれないか?」
イゾウ兄さんの指差す先には沢山の着物。
どれも高級感が漂い、絶対に似合わない自信がある。
それに、、私着物の着方わからない。
『い、いえ!あんな高そうなもの、、頂けません!
それに、、、私着物の着方が、、、』
「…着方、覚えてないのか?
……まぁいいさ、それは俺が教えてやるよ。
ほらほら、とりあえず今から着るやつ選びな。」
『ええっ!』
イゾウ兄さんは私の背中を押して、着物の前にたたせた。