第3章 新しい生活
「ふふっ、菜々美、髪の毛跳ねてる。」
『え!どこ!?』
「ココ。そうだ、今から俺の部屋来いよ。
櫛貸してやるし、服もソレ、ハルタのだろ?
昔着てたが、今はもう着てないやつあるから、何着かやるよ。」
『イゾウ姉さん!ありがとうございます!!』
私はガバリと、その場で頭を下げた。
「イゾウ、、姉さん???」
『?』
ポカンとした顔でマルコ兄さんが私を見てる。
…どうしたんだろ。
「…お前、今なんて言った???」
『え?イゾウ姉さん、ありがとうございますって言いましたけど、、、』
「イゾウ、姉さん??」
『はい。』
「ククッ」
マルコ兄さんが口を開けたまま固まってる。
後ろから笑い声が聞こえた。
イゾウ姉さんだ。
「菜々美、俺は男だ。……ほら。」
イゾウ姉さんはそう言って流れるような仕草で私の手を掴んで自身の胸に触れさせた。
そこに触れたのは柔らかい女性特有の膨らみ
、、、ではなく、硬くて逞しい胸板だった。
『え?、、、え?、、、、、、、えぇ!?』
何か声を出そうにも、何と言っていいかわからなくて、口を開けては閉じてを繰り返す。
イゾウ姉さ、いや、イゾウ兄さんはそんな私を見て楽しそうに妖艶に笑った。
その溢れる色気に耐えられなくて、私は顔が熱くなっていくのを止められない。
「ククッ、、かわいいなぁ、菜々美は。」
さらにイゾウ兄さんは反対側の手を私の顔に沿わせ、少し硬くなった親指で私の頬をなぞり、耳元で怪しく
「食っちまいそうなくらい、な。」
と囁いた。
衝撃的な事実と半端ない色気で頭がクラクラする。
「イゾウ、そろそろ勘弁してやれよい。
菜々美が沸騰しそうだ。」
それは困る、とイゾウ兄さんは私の手を離すと、私の分の食器を持って、颯爽と厨房の方に下げに行った。
「落ち着いたら俺の部屋までマルコに送ってもらえ。
待ってるぞ。」
色っぽい流し目と、そんな一言を残して。