第8章 次なる島は
『うん。
ありがとう、兄さん。』
「おうよ!」
「無理はするなよい。」
「じゃあ僕はもう行くよ。」
「俺も。食い終わった頃に皿取りに来るわ。」
「わかったよい。」
『みんなありがとう。』
「うん。じゃ、ゆっくり休んでね。」
パタン
2人が居なくなると一気に部屋の中が静かになる。
私はテーブルに置かれた擦り下ろされたリンゴのお皿を手に取る。
『いただきます。』
「食える分だけでいいからな、」
『うん。』
前のことがあったからか、マルコ兄さんは何度も何度もそう言う。
確かに前はお腹は全く空いてなかったけど、今は少しだけ食べたいと思えるから多分大丈夫だ。
私は添えられていたスプーンを手に取り、お皿の中のリンゴを掬う。
『ん、おいしい。』
素朴でどこか懐かしい味。
…なんだか前にもこんな風にリンゴをすり下ろしたものを持ってきてくれた人がいたような気もする…
気のせい?だよね、、
「どうした?」
『ううん、なんでもない。』
マルコ兄さんにそう言い、食べ終えたお皿を脇のテーブルに乗せる。
元々量が少なかったからか、全部食べ切ることができた。
「じゃあ薬飲むかねぃ。
ちと苦いが、我慢しろよい。」
『うわぁ…見るからに苦そう、、、』
マルコ兄さんが薬包紙に包んで差し出したのは茶色の粉末。
少しの量でもきっと苦いんだろうな、、、
「…頑張れよい。」
『うん。
もう一思いに飲む。』
私は覚悟を決めて包みを開き、一気に口の中に入れた。
舌の上になんとも言えない苦味が広がりむせそうになる。
なんとかそれを抑え込んで、マルコ兄さんの差し出したコップの水をがぶ飲みした。
『苦い…』
「ん、ちゃんと飲めたな。
偉いよい。
薬飲めたならまた回復も早いはずだ。
眠たくなる成分も入ってるから、眠たくなればそのまま寝ていいよい。」
『うん、わかった。
ありがとう、』