第8章 次なる島は
マルコ兄さんからサッチ兄さんにバトンタッチすると、サッチ兄さんはルンルンと鼻歌を歌いながら看板を歩く。
…そんなに楽しいのかな?
「やっと俺のとこに来た。
にしても、本当に菜々美は小さいなぁ。」
『そんな事ないもん。
…みんなが大きいだけ。』
「いやいや、だって腕の中にすっぽり収まるんだぞ?
小さいに決まってら。」
確かにみんなに比べたら小さいけど、平均くらいだと思う。
…多分。
『…サッチ兄さん、いい匂いがする。』
「ん?あぁ。さっきまで厨房居たからな。」
『サッチ兄さんはいつも美味しそうな匂いがするの。』
「美味しそうな匂い、か、、、初めて言われたなぁ。
元気になったらいっぱい美味いもん作ってやるからな。
なんか食べたいのとかあるか?」
食べたいもの、、、
あ、
『カレー食べたい。』
「お、いいな。
菜々美は中辛くらいなら食べれるか?」
『ううん。私辛いの全然ダメなの。
甘口がいい。』
「甘口な。わかった。」
『…あと、りんご食べたい。』
「りんごなら今でも食べて良さそうだけどなぁ。
あとでマルコに聞いてみるか。」
『うん。』
潮の香りとサッチ兄さんの匂い。
なんだか心地が良くて、体から力が抜ける。
「そういやさっき、俺は美味そうな匂いって言ったろ?
他の奴らもなんかあるのか?」
『…マルコ兄さんは木と消毒液の匂い。
イゾウ兄さんはお香の香りがする。』
「あぁ、確かに。イゾウの香の匂いはわかるな。
マルコのは、、、医務室でなんかしてた時は消毒液の匂いするが、木の匂いとかは感じた事ねぇ。
菜々美鼻いいのか?」
『いや、多分さっきまで抱っこしてもらってたから、、、
近くにいたし。』
「あぁ、そう言うことか。」
サッチ兄さんは私に沢山話しかけてくれて、会話が止まることはない。
久々にこんなに話して、とても楽しい。