第8章 次なる島は
『はぁ……風が気もちぃ。』
「寒くねぇかよい?」
『うん。』
毛布で包まれている上、マルコ兄さんの体温と少しだけ能力を使って青い炎を出してくれてる。
暖かくて気持ちがいい。
木と消毒液の匂いのする部屋にずっと居たからか、毎日嗅いでいたはずの潮の香りがひどく懐かしく感じる。
胸いっぱいに息を吸い込むと、ぐるぐる回っていた頭がいくらかスッキリしてきた気がする。
「あー!菜々美!!」
「…チッ、うるせぇのが来たよい。」
『サッチ兄さん、、、』
サッチ兄さんは満面の笑みでこっちに走ってくる。
私はさっきのことがあってから、どんな顔をしていいのかわからなくて、マルコ兄さんに身を寄せた。
「菜々美、もう外に出て大丈夫なのか!?」
「うるせぇ。
んなでかい声出すなよい。」
「あ、わりぃ。」
「今はただ風に当たりに来ただけだよい。
治った訳じゃねぇからんな騒ぐなよい。」
マルコ兄さんに怒られて、サッチ兄さんは少し声を抑えて私に再び声を掛けた、
「菜々美、大丈夫か?」
『うん…あの、兄さん、、、』
「ん?」
『えっと、、、今朝の、、ごめんなさい。
せっかく、作ってくれたのに…』
私の声も、後になるにつれてどんどんと小さくなる。
最後の方なんて、ほとんど声にもなってなかった。
恐る恐る顔を上げてサッチ兄さんの顔を見上げる。
「ん?あぁ!んなこと気にすんな!!
飯は食いたい時に食えるだけ食えばいいんだ!
だからいつでも言えよ?うまいの作ってやるから!」
それがコックの役目だ!と言ってニカリ、と弾けるように笑うサッチ兄さん。
大きな手で私の頭をくしゃりと撫でてくれる。