第8章 次なる島は
もう菜々美の体調も大分心配もいらなくなった。
少しずつ回復していっているのが目に見えてわかる。
俺はそろそろここ数日分の書類を片付けようと思い立つ。
いつもは菜々美の手を借りながらこなす仕事も、その菜々美が倒れている上に数日分溜めちまった。
島での作戦の立案もまだだ。
…おそらくもうそろそろ島に着くだろう。
俺は残された仕事量にため息を吐かずにはいられない。
頭の中で優先順位を決めていく。
コンコンコン
「…なんだよい。」
ガチャ
医務室で、尚且つ菜々美が寝ていることもあり、控えめなノックをして入って来たのはサッチとハルタ。
…見舞いか?
「あー、、、マルコ。
その、俺達菜々美の体調不良気づかなかったからよ、
なんだ、、ちっと書類片付けて来たんだが、、、」
「僕も。
マルコみたいな完璧な作戦、とまではいかないけど、、、
島での作戦案。
いくつか考えたから、、、」
「…お前ら、」
そう言いながらおずおずと差し出されたのは、書類が嫌いなサッチにしては信じられないほどの量の書類。
…寝る間も惜しんでやったのだろう。
溜まっているはずの書類の殆どがそこにはあった。
ハルタの方も、
俺は作戦は一つに絞ってそれをできる限り完璧に近づけていくタイプだが、この紙の束を見る限り、試行錯誤した案を色々と出して来たのだろう。
それだけでかなり楽になる。
試しにパラパラと巻くってみても、それらは随分と丁寧な仕上がりで、目を見開かずにはいられない。
「…ありがとうよい。
助かる。」
「本当か!」
「あぁ。これで俺も菜々美の近くに居てやれるし、今夜は普通に寝れそうだよい。」
「よかった…」
別に、2人に今回の責任はねぇが、自分を許せない気持ちもわからなくはない。
この好意は黙って受け取っておくのが一番だろう。
そこには弟達の妹を想う姿を見てとても柔らかく笑う長男の表情があった。