第8章 次なる島は
「…菜々美の目は覚めたのか。」
「昨晩魘された渦中に一度急に起き上がったが、すぐに気絶する様に眠った。
それから今朝は普通に目を覚ましたが、何分まだ熱が高い。
大分疲れ果ててた。」
「…俺たちとは元々の体力も全く違うからなァ」
少し力を入れればすぐに折れてしまう腕。
本当に容易く摘み取ることの出来る命。
こんなにも繊細で、すぐに死んでしまいそうな気さえする菜々美。
熱だと分かっていても、命にかかわることがないと分かっていても、常に命のやり取りをする自分たちからしたら不安で仕方がない。
「今朝、目が覚めたとき、マルコが薬飲ませるためにサッチに粥作らせたんだ。
菜々美は少しずつ、美味しいって言って食べてた。
だが、、、食べた直後に戻しちまってな…」
「…」
「…俺とサッチはマルコに出てけって合図されたから直ぐに出たんだが、、随分泣いてた。」
「…」
「気にしてんだろう。やっぱり。
女だもんなぁ。
マルコは俺とサッチには誰にも言うなつったが、オヤジの耳にはいれとくべきかと思ってな。」
「あぁ。
菜々美のことなら全て知らせろ。
…お前だって分かってるだろうが、、、マルコの言うように、あまり騒ぐなよ。」
「勿論だ。」
オヤジはその言葉を聞くと、ニヤリと笑った。
「今はどうしてる?」
「疲れて眠ってる。
恐らく今はもうただの熱だ。
マルコが診てる。」
「そうか。
…もうじき島に着く。
次の島には菜々美を上陸させるつもりはねぇから急ぐ必要は無いんだが、、、
早く治ることを願うばかりだな。」
「そうだな。」
俺とオヤジは医務室のある方を自然と見つめ、深い息を漏らした。