第8章 次なる島は
コンコンコン
「オヤジ!起きてるか?」
「あぁ…入れ。」
ガチャ
「悪いな、朝早くから。」
「グララ、歳取ると朝も早くなる。
気にすんな。」
オヤジはそう言うと、俺に近くに寄るように促す。
「…昨夜は随分と大変だったらしいじゃねぇか。」
「知ってたのか?」
「そりゃ、あれだけ菜々美の気配が乱れりゃな。
お前たち2人の焦りも中々のモンだったが。」
オヤジの見聞色はやはり、俺たちのソレとは比べ物にならない。
菜々美の気配は本当にこの船の中では小さくて、眠っている状態ならばほとんど感じられない。
それをこの距離で正確に感じ取るなんざ、正に神業。
「…魘されてた。
それに、胸を押さえて苦しそうだった。」
「胸?」
「菜々美の胸元に傷痕があるのは知ってるか?」
「あぁ。
刺し傷みてぇなヤツだと聞いてる。
ただ、完治していたとマルコは言っていた筈だが。」
オヤジは不思議そうに俺の顔を眺める。
確かに、あの傷は完全に塞がっていた。
「…確かに完治はしていたし、マルコも本来痛みなんか感じるはずがないとも言っていたが、、、名を呼ぶごとに痛がっていたんだ。」
「…そうか。」
「それと、記憶が混濁していたのか、一瞬マルコの名前が出てこなかった。
譫言でも母さん、父さんつってたし、、、夢の中で記憶を見ていたのかもしれねぇな。」
そう言うと、少し顔を顰め、静かに目を閉じたオヤジ。
しばらくして目を開けると、先ほどとは少しだけ光が異なる瞳。