第8章 次なる島は
「菜々美、大丈夫かなぁ、、、」
「…」
「やっぱりまだ卵は早かったか?」
「…」
「粥じゃなくてうどんの方が良かったと思うか?」
「…」
「なぁって!
聞いてんのかよ!イゾウ!!」
「うるせぇ。」
「はぁ!?」
本っ当にうるさい。
医務室から連れ出して正解だった。
確かに、戻してしまった時は俺もコイツも焦ったが、マルコが手で出て行けと合図をしたのにも気づかないこのバカ。
ずるずると引っ張って部屋から出したのはいいものの、ここでも十分うるさい。
ガチャ
「!マルコ!!菜々美は!?」
「…サッチ、お前本当に黙って待てねぇのかよい。」
部屋から出てきてサッチの顔を見るなり、げっそりとした顔になるマルコ。
…その気持ちも分からなくはない。
「…で、菜々美の様子は?」
「疲れて眠ってる。
体力も殆ど残ってなかったろうに、、悪いことしちまったよい。」
マルコはぐしゃぐしゃと頭を掻く。
薬を飲ませた方がいいのは確かだが、それ以前に胃が受け付けないとなると、、、気長に様子を見るしかないのか…
「…あぁ、イゾウは大丈夫だとは思うが、、、あんまり騒ぎ立ててくれるなよい。
特にサッチ。
戻したことは誰にも言うなよい。」
「それくらい俺だってわかってるよ」
「…ならいいが。」
「…やっぱり気にしてたか。」
「相当な。
身体もキツいのに、ショックだったんだろうよい。」
今更、人が吐いたの見たってどうとも思わない。
それが妹なら尚更だ。
敵が無様に吐いた場面も、恐怖に怯えて漏らした場面も、、、もっと嫌悪感を抱く場面を何度も目にしたことがある俺たちにとっては、本当に些細な出来事だ。
まぁ、俺たちの様な奴らとは違って、菜々美はもっと繊細だとは思うが…
「…そういうことだ。
イゾウはオヤジのとこに報告頼むよい。
サッチはまたなんか食いもん頼むかもしれねぇからそのつもりで待ってろい。」
「あぁ。」
「わかった。」
俺は2人と分かれてオヤジの部屋に向かった。