第8章 次なる島は
『…』
目を開けると、見覚えのない天井が目に入る。
何故か身体はすごく疲れていて、起き上がることさえ億劫だ。
「菜々美!目覚めたか!?」
そう言って私を覗き込むのは、、、えっと、誰だっけ、
『…ぇっと、、、』
「…わからないか?俺だ。
マルコだよい。」
あぁ、そうだ。
『マルコ、に、さん。』
声が掠れて上手く話せないけれど、聞き取れた様で、兄さんは安心した様に笑う。
「菜々美、水飲めるか?」
『…いぞ、に、さん』
水の入ったコップを差し出すのはイゾウ兄さん。
…そっか。
こっちが、私の生きてる世界か、、、
?
こっち?
「…少し身体起こすよい。」
『…ありが、と。』
マルコ兄さんに背を支えられながら、イゾウ兄さんがくれた水を少しだけ飲む。
喉がカラカラで少し痛かったけれど、久々の水は喉をしっかりと潤した。
「覚えてるか?
廊下で倒れたんだよい。今日でもう3日になる。」
『…3日、、、』
そんなに眠ってたのか、
「なんか体の不調とかはないかよい?
些細なことでもいい。痛むところとかはないか?」
『…痛くは、ない。
ただ、疲れた…もう少し、、眠い、、、』
そう言う間にも、瞼が閉じそうになる。
「寝るのは少しだけ待ってくれよい。
腹に少しなんか入れて、薬飲んでからなら寝ていいから。」
『ん、、、わかった。』
私はいつのまにかイゾウ兄さんが背中に敷いてくれたクッションに寄りかかって、ひとつ息をついた。
『…マルコ兄さん。』
「どうした?」
『なんだか、すごく長い夢を見ていた気がする。』
「…」
『幸せで、暖かくて、ずっといたくなるような、そんな夢。』
「そうか。」
『でも、夢って、、、やっぱり夢なのね。
…だって、、、
もう、何も思い出せない。』