第8章 次なる島は
目の前で拒絶の言葉を繰り返しながら、熱と夢に魘される菜々美。
何度起こそうと声を掛けても、その度に胸を押さえて痛がる。
『あぁ、、、母さん、とう、さん、、、』
「っ、」
家族の夢を見ているのか。
…俺とマルコが息を呑む音が同時だった。
…帰るべき場所が、ちゃんとコイツにはあったのか。
それはきっと、菜々美にとって1番の幸せで、喜ばしいことなんだろう。
俺たちが勝手にショックを受けて固まっていると、空に手を伸ばし始めた菜々美。
思わず、俺もマルコもその手を取ろうとした。
『あ、、、ぁ、あ、、、、いやぁ!!!』
ビクリ
今までの、苦しむような声とは異なり、叫ぶようにそう言われ、俺もマルコも差し出そうとした手を止めた。
菜々美は一筋、涙を流すと、その目がパチリと開いた。
『っ!!』
「「菜々美!!」」
『はっ!』
と、それと同時に飛び起きた。
菜々美は辺りを見渡している。
…混乱しているのか?
「菜々美。大丈夫か?」
マルコがベッドサイドに膝をつき、下から見上げるように問う。
菜々美は上がった呼吸を整えながらそちらを向く、
『はぁ、はぁ、はぁ、、、、、』
「急に起き上がると身体に障る。
もう少しゆっくりしてろよい。」
まだ、意識が朦朧としているのか、マルコの言葉を理解できているかも怪しい。
「っと、」
ふっ、と。
急に菜々美の体から力が抜け、マルコの腕の中に収まった。
…凄い量の汗に、あの苦しみ様。
体にはかなりの負荷がかかっていることだろう。
「…熱が異常だよい。
これ以上上がることはないだろうが、、、イゾウ、菜々美の着替えと、水、それとタオル持ってきてくれ。」
「あぁ。」