第8章 次なる島は
「菜々美の胸元にはかなりでかい傷跡があるんだよい。」
「傷?手術痕か?」
「いや、、、見た方が早い。」
マルコは菜々美の前開きのシャツのボタンを上から開けていく。
4つほど開けると、下着に包まれた膨らみが姿を見せる。
マルコはそれを少しだけずらすと、俺に見るように促した。
「は?」
白く柔らかい肌に似つかわしくない刺し傷。
それはちょうど心臓の真上の場所にあった。
「これ、、、なんで生きてんだ?」
「…」
信じられねぇ。
…刃物を何かに突き刺すとき、その刃物はある程度先端が鋭くないといけねぇ。
菜々美の肌に残っている傷は約5センチ。
この大きさの傷跡を残すためには、少なくとも10センチの深さまで刃の先は到達していなければならない。
菜々美のような小柄な女なら、簡単に心臓に達する深さだ。
「…マルコ、お前、、、これ知ってたのか?」
「あぁ。」
「おかしいだろ、こんな、、、」
何でそんな普通で居られる?
菜々美は能力者じゃない。
こんな傷負って生きてられる訳がない。
「いや、、、一つ考えられるとすれば…」
「なんだ。」
「ガキの頃の傷跡だよい。」
…確かに、成長とともに傷が引っ張られてこの大きさになったのなら、刺し傷じゃなくて、切り傷だった可能性もある。
だがこの傷は、それにしても、、、
『っ!、いや、、、』
「菜々美!」
「菜々美!!」
『痛っ!!、あぁ!!!』
「菜々美!」
『…っ!、く、、、ぁあっ!!!』
体を丸めて痛がる菜々美。
汗をぐっしょりかきながらも、その体はガタガタと震える。
「っマルコ!胸の傷どうにかなんねぇのか!」
「もう完治してる!
痛みなんか本来あるはずねぇんだよい!!」