第8章 次なる島は
バン!
「マルコ!起きろ!!」
「菜々美か!?」
大して深く眠っていなかったんだろう。
マルコは普段着のまま寝ていて、起きた瞬間から医者の顔をしていた。
医務室までの道を走りながら、手短に状態を話す。
「急に魘され始めてな。
今まで反応すらなかったのに、、、汗もかいてたし、呼吸も荒かった。
少しの変化でも起こせって言われたから起こしたが、、、よかったか?」
「あぁ。起こしてくれてありがとよい。
どんな微かな変化でも手がかりのない今はありがたい。」
バン!
医務室のドアを思い切り開き、ベッドの菜々美に駆け寄る。
…先程とは異なり、顔が赤い。
マルコは落ち着いて額に手を当てた。
「…あちぃ。」
見るからに熱は上がってそうだが、さっきまでは俺の体温よりも低かったんだ。
そんなに急に上がるものか?
マルコは何も言わずに菜々美の汗を拭き、首筋に触れて脈を測ったり、クッションを敷いて傾斜をつけたりと、あれこれと動く。
「ん?」
俺は菜々美の様子がおかしいことに気づいた。
「なぁマルコ、菜々美のやつ、、、なんかさっきから胸元掻きむしってないか?」
「!」
布団の下だからよく見えなかったが、ゴソゴソとそのあたりが動いている。
マルコはバサリと布団を剥いだ。
「…本当だよい。」
「そこは…心臓?」
時折呻き声を上げながらソコを抑え、掻きむしり、苦しげに息を吐く菜々美。
…心臓悪かったのか?
俺の混乱を他所に、マルコは顎に手を当て、何かを考えていた。
そしてハッとしたように顔を上げる。
「…マルコ、何か思い当たることでもあんのか?」
俺はそう聞いてマルコを見つめる。
マルコは、少し言いづらそうに、口を開いた。