第8章 次なる島は
『いつまでもこんな日々が続くのはありえない、か…』
美香と別れてから、その言葉がずっと頭を過っている。
そんな経験、今までした事ないのにどこか納得しているのは何でだろう。
美香は同級生の私からしても、かなり達観した高校生だと思う。
いつもちゃんと目の前の現実を見れて、冷静な判断を下せる。
きっと素晴らしい医者になることだろう。
それに対して私はどうか。
行き当たりばったりで、今が楽しいならばそれでいい。
そういうタイプ。
勉強も、別に大学に行きたいからやってる訳じゃないし、ただ、好きだから。
目的なんてない。
ぼんやりとそんなことを考えながら歩く。
…もうそろそろ夏服の時期か、、、
『…ただいま。』
「「「おかえり!」」」
いい匂い。
今日の晩ご飯はカレーだな。
「よ、おつかれさん。」
『兄さんもお疲れ様。
今日バイトもあったんでしょ?』
「まぁな!でも今日は楽な日だったからそんな疲れてねぇんだ!」
『へぇ、よかったじゃん。』
「菜々美!先にお風呂入っちゃって!!
上がる頃には食べられるから!」
『はーい。』
母さんのその言葉を聞いて、さっさとお風呂を済ませる。
お腹ぺこぺこだ。
濡れた髪を適当に纏め、皿を運んで席に着く。
目の前には食欲をそそる香りのカレー。
『ん〜!美味しそう!!』
「お前それ甘口だろ?
カレーといえば辛口だ!」
『兄さん達のは辛すぎ!知ってた?辛いのが好きな人ってドMなんだよ?この前テレビで言ってた!』
「だがいくらなんでも高校生にもなって甘口はねぇだろ。」
「ふふ、菜々美はいつまで経っても辛いのは苦手ね。」
「俺も秀も母さんもそれなりに食えるが、菜々美だけは辛いのダメだよな〜」
カレーの時、母さんはいつも私だけ甘口に変えてくれる。
父さんと母さんは辛口。
兄さんのは激辛。冗談でも私には食べられない。
『もう、早く食べよう!
私お腹ぺこぺこ!!』
「そうだな。食べようか。」