第8章 次なる島は
『ふふ、いくよ?』
「えぇ。」
『「せーのっ!!」』
バサッ!!
「あぁー!!!」
『よっしゃ!美香打ち取ったり!!!』
カフェで適当に甘めの飲み物を頼んだ。
テーブルの上に広がるのは昨日で出揃った期末テスト達。
『ふっふっふ、今回自信あったんだよね〜』
「うー…あと3点!!
惜しかったなぁ…」
前回は負けたから結構嬉しい。
特に、今回は数学の満点が効いてる。
「あーあ、なんで私ここ計算ミスったんだろ、」
『私最近簡単な計算ばっかりやってるからかな、今回ノーミスだった!』
「むぅ…次は勝つ!!」
『次も負けない!!』
そう言って2人でニヤリと笑うと、どちらかともなく声を上げて笑った。
「ね、菜々美大学どこ行くの?」
『大学か…どうしようかな、、、正直あんまり考えてなくて…』
「私決めたよ!○○大の医学部受ける!!」
そうして父さんを超える医者になるんだ!
そう言ってシャーペンをキラリと見せる美香。
美香の家は医者家系だもんな、、、
『美香はずっと医者になりたいって言ってたもんね。
頑張って!美香なら全然そこ狙えるし!!』
「ありがと。
菜々美も決まってないならさ!一緒に行こうよ〜」
『えー、、私医者はちょっと無理かな…
向いてないもの。』
「あー、確かに。それは言えてるわ。」
『でしょ?』
私はそういう、人が亡くなるような場面に遭ったことがない。
自分でもかなり恵まれた境遇の中生きてきたと思う。
だからこそ、想像できない。
死ってなんだろう。
残された悲しみってなんだろう。
寄り添うってなんだろう。
生きるって、なんだろう。
…勉強することは好きだけど、そういうことになると頭が真っ白になる。
そんな人間は医者と名乗るべきではない。