第8章 次なる島は
「そうか。」
俺は少しだけ安心してそっと息を吐く。
「今は落ち着いてるが、何分熱が高い。
2、3日はキツい筈だよい。」
「2、3日、か、、、」
「目が覚めたら口から何か食わせたり薬飲ませたりできるんだが、今は点滴が限界だ。
目覚めるのを待つしかないよい。」
マルコはそう言い、ガシガシと頭を掻く。
「クソッ、今日は島での作戦立てるから菜々美に手伝い断ったが…いつも通り一緒に居たらもっと早く気づいてやれたはずだった…」
オヤジはその姿をジッと見つめる。
「マルコ。」
「…」
「済んじまったことは仕方ねぇ。
お前は悪くねぇが、そう言ったってお前は満足しねぇんだろう。
…それなら、この先後悔しねぇように尽くせ。
今の菜々美にお前にしかできないことは山ほどある。」
「…あぁ。」
マルコはそれを聞くと扉の方へ踵を返した。
「あ、オヤジ。
俺医務室で仕事片付けるから作戦の書類少し遅れてもいいか?
島に着くまでには終わらせるよい。」
「あぁ別に構わねぇ。
今は菜々美の体調以上に優先すべきことはねぇ。」
「わかったよい。
イゾウ、サッチに粥いつでも出せるようにしとけって言伝頼むよい。」
「あぁ。」
そういうとマルコは部屋を出て行った。
「グララララ、マルコのあんなツラは久々だな。
お前の焦りようもな。」
「言うなよオヤジ…」
「グララララ!別に今更いいじゃねぇか!
おでんが乗ってた時以来か。
この十数年で成長したかと思えば案外そうでもねぇな!!」
楽しそうにニヤリと笑うオヤジ。
本当に敵わない。
「…サッチのとこ行ってくる。」
「グララララ!行ってこい!」
俺の脳裏にもおでん様が乗っていた時の、焦ってなりふり構ってられなかった頃のことが過ぎる。
俺は足早にオヤジの部屋を出る。
…別に恥ずかしくなったからじゃねぇ
早く伝えた方が良いと思っただけだ。
ただ、それだけだ。