第8章 次なる島は
30分くらい経っただろうか。
目が覚めると酷い倦怠感。
これは完全に風邪ひいたな。
風邪なら水分とって寝ておけば勝手に治る。
そう思って、食堂にお水を貰いに行こうとベッドを降りる。
『あ、』
ぐにゃりと視界が歪んで足から力が抜ける。
急に起き上がったのがまずかったか。
時間を置いて立ちくらみが収まると、次はゆっくりと立ち上がり、食堂へと歩く。
いつもは気にならないほど小さな波の揺れが妙に頭に響く。
ゆらゆら揺れる足元の船、そしてその上を歩く自分。
二重に揺れて気持ち悪い、
「菜々美、どうした、大丈夫か、」
壁に寄りかかって立ち止まっていると、後ろからイゾウ兄さんの声が聞こえる。
ゆっくりと振り返ろうとそちらに足を向けた。
あ、やば、、
「菜々美!?」
ドサッ
踏み出した足に力が入らなくてその場に崩れ落ちてしまった。
イゾウ兄さんが一瞬でこちらに移動して支えてくれたけど、全く足がいうことを聞かない。
「熱い…凄い熱だ。
顔色も悪い。
菜々美、すぐにマルコのところに行くからな。」
そう言うなり、イゾウ兄さんは私を軽々と抱くとマルコ兄さんの部屋へと向かった。
そのスピードは早いのに揺れは全然気にならなくて、それよりもイゾウ兄さんの心音が心地よくて、兄さんが何か喋っているけれど、私の意識は深く沈んでいった。