第8章 次なる島は
カモメの声を聞きながら、ただじっとしていた。
それだけなのに、なんだか身体の中がざわざわする。
心なしか頭も痛い。
『…風邪でも引いたかな、、、』
どこか様子のおかしい体。
自覚するとさらに頭痛は酷く感じられ、脈と共に痛みが襲う。
部屋で一眠りしよう。
幸い今日はマルコ兄さんの手伝いはない。
私はゆっくりと立ち上がり、部屋に戻って目を閉じた。
ー
ーー
ーーー
ーー
ー
次の島には菜々美は下ろしてやれないな。
そんなことを考えながらその島の地図を開く。
今日は書類仕事は1日休んで島での作戦を考える。
明日はいつもの倍の書類を片付けなければならないと思うと気が重いが、それはもう考えないことにした。
オヤジのナワバリで人攫い、およびヒューマンオークションが蛮行している。
その噂が耳に入った瞬間、俺はその島を調べた。
近くにいた傘下の海賊に様子を見に行かせるとビンゴ、若く愚かな海賊が白ひげの島と知りながら行っているようだ。
若さと未熟は違う。
全く、知らないってのは怖いねぃ。
若さ故、白ひげのことを深く知らない。
その戦歴、強さ、力の強大さを理解していない。
何故ナワバリがあるのか、まるでわかっていない
ため息を吐きながら地図を凝視する。
地形を使って上手く隠している。
港も近い。
…逃げる準備は万端ってことかよい。
オークションの規模はまだ小さく、天竜人などが使うようなレベルではないらしい。
主な利用者は海賊。
おおよそ、下衆な野郎共が船に乗せる女を買いに来たってとこか。
そしてその女はおそらく使い捨て。
用が無くなればすぐに殺される。
陸の娼婦に金を使うより安く、海の上でも関係なく吐き出せる。
そのためだけに乗せる女。
全く反吐が出る。
男の風下にも置けねぇバカ共。
オヤジの島でふざけたことしてくれる。
ぐしゃりと音を立てて地図を捨てると、バカを一網打尽にすべく、ペンを動かした。