第8章 次なる島は
「浮上するぞ!!!」
その声が船中に響き渡る。
父さんと話した後、私はいつものようにマルコ兄さんの書類を手伝い、表層に来てからはみんなと魚を眺めていた。
なんだかんだ言って、太陽の光を直接浴びるのは久々だ。
バシャン!!
「ウォォオオオ!太陽だ!!」
「新世界に帰ったぞーー!!!!!」
海に帰ったなら宴だ、と、そう言ってすっかり看板はどんちゃん騒ぎだ。
遠目でそれを眺めていると、ふわりと香る香の良い香り。
「菜々美、どうした。
あんまり元気ないんじゃないか?」
懐に片手を入れてやってきたのはイゾウ兄さん。
私の隣に腰を下ろすと、そう聞いてくる。
『そう?
まだ少し寂しいのかも。二度と会えない訳じゃないけど、、、やっぱり、ね。』
「そうか。
…気休めにしかならんかも知れんが、、ここにはオヤジも俺たちもいる。
人魚姫とは一時の別れだが、俺たちはずっと一緒さ。
寂しい思いなんて絶対させない。」
『うん、ありがとう。』
「菜々美〜!イゾウ!!
何そんな隅っこにいるんだよ!!こっち来い!!!」
「ふっ、サッチの奴…行くか?」
『うん!』
まだぼんやりする頭を掲げたまま、私は賑やかな輪の中に入り、そこで行われるゲームを見て涙が出るほど笑った。
本当に、ここにいたら全然寂しくない。
なんてあったかいところだろう。