第7章 魚人島
そのまま、しらほしは8年間孤独だった胸の内を私に話した。
ゆっくりと、それでいて強さを持った声で。
それは、8年間溜め込み続けた母への想いで溢れていた。
言葉では少し恨んでしまったと言いつつも、わたしにはそうは聞こえなかった。
ただ、愛に溢れた天国へのメッセージのように聞こえた。
「…すみません、長々と、、、」
『ううん、別にこれくらいどうってことない。
8年分よ?まだ足らないくらい。』
時計の針が深夜の時刻を過ぎた頃、しらほしは真っ赤に腫れた目元を押さえながらそう言った。
その顔がどことなく晴れたように感じるのは私のエゴだろうか。
「言葉にすると、随分とスッキリしました。
菜々美様、本当にありがとうございます。」
『…それなら、よかった。
そろそろ寝る?』
「はい!」
私としらほしは灯りを消して横になった。
『おやすみ、しらほし。』
「おやすみなさい。」
「あ、あの、菜々美様!」
『ん?』
瞑っていた目を開けたけれど、暗さに慣れていない目には何も見えない。
「あの…手を、繋いで眠っても良いですか、、、」
『手?』
「っ、はい、、、お母様のことを思いだしたら、寂しくて…」
『しらほし…いいよ。
私の手じゃ小さいかもしれないけど、、、』
ネプチューン王が大きな方だから、オトヒメ王妃も背が高かったのかもしれない。
「いえ、お母様はお父様のように大きくはなかったです。
菜々美様よりは身長は高かったですが、、、」
『そうなの?
なら大丈夫かな。』
「はい!ありがとうございます。
…お休みなさい…」
しらほしは私の手を握ると、安心したように、あっという間に眠ってしまった。
『…おやすみ、しらほし。』