第7章 魚人島
「…菜々美様、、、わたくしは、間違えているのでしょうか。」
いつの間にか、私の頬にも雫が溢れていた。
私はハッとしたようにそれを拭い去ると、しらほしと向き合う。
『…間違えてない。
しらほしは間違えてない!』
私は真っ直ぐにしらほしの目を見ながら続ける。
『大好きなお母様を手に掛けた犯人を恨まないなんて、誰にだって出来ることじゃないわ。
それはしらほしが強い証拠よ!』
「ですが、、わたくし、少しだけ恨んでしまうこともありました…」
『それは仕方ないことよ!
大切な人を殺されて悲しくて悔しくて、いくらお母様が望んでいたとしても、たとえ少し恨んでしまったとしても、それはしらほしがお母様を大切に思っていた証拠でしょう?
何も悪いことなんてないわ!!』
私だったら…もし、父さんが誰かに殺されたって考えたら…
絶対に許さないし、私なら憎んで恨んで、、、多分どうにかなってしまう。
それに…
『…それに、、、
8年間、ずっと1人で抱えてきたんでしょう?
誰にも言わずに…
…辛かったよね、苦しかったよね、、、』
ただでさえいつも1人で此処に居なければならないのに、更にそんな秘密まで抱え込んで。
その心中は想像を絶するものだろう。
「…っ、」
『しらほし、私に話してくれてありがとう。
しらほしが今まで精一杯守ってきたお母様との約束。
私も守る。
誰にも言わないから、』
『…だから、私の前では我慢しなくていいよ。
もし、しらほしが良いのなら、いくらでも吐き出して。
私は何があってもしらほしの味方でいる。』
住む場所は違っても、いつまでもずっと…
そう言うと、しらほしは堰を切ったように、今までとはまた違った涙を流した。