第7章 魚人島
いつものように亀さんタクシーで竜宮城まで行き、父さんと別れる。
そのあとはもう迷うことなくしらほしの部屋に直行した。
コンコンコン
『しらほし、私。』
ギギィ、と鈍い音を立てながら開く硬い鉄の扉。
その中には今日もこれでもかと言うほど瞳に涙を溜めたしらほし。
「ふぇっ、菜々美様、、明日出港されると聞きました、、ほんとうに、行かれてしまうのですか?…ひっく」
『…うん。』
「っ!え〜ん!行かないで下さいまし!
寂しゅうございます!!わたくしまだ菜々美様とお話ししたりません!!もっと一緒に居たいです!!」
大粒の涙を流しながらそう言うしらほし。
その涙を見てもらい泣きしそうになるのを必死に耐え、しらほしに話す。
『…しらほし、私も寂しい。
私ももっともっとずっと一緒に居たいし、お話ししたい。』
「でしたら!」
『…でもね、私の家はモビーなの。
そしてね、モビーの家は海の上なの。
…私は海賊じゃないけど、私は父さんの、、、海賊、白ひげの娘。
だから、、、帰らないと。』
そう言葉にすると私の瞳も潤んで、今にも雫が溢れそう。
…ここは海底。
しかもこの海は“偉大なる航路”
来る時も感じたが、そう易々と来れる場所ではない。
次に来れるのは何年後か、又は何十年後かも、わからない、
『…でも!でもね、私はいつまでもずっとしらほしの1番の友達だから!!!
それだけは約束する!
いつか必ず会いに行く。
これきりになんて絶対にしないわ!』
嗚呼、だめだ。
しらほしの顔を見上げると、右頬に暖かい水滴が落ちていくのが感じられた。
我慢する、つもりだったんだけどなぁ。
「わ、わたくしも!
わたくしも菜々美様の1番のお友達です!!
お約束です!!
絶対に絶対にまた会えます!!!」
『ふふ、そうね、約束。』
大きな小指に私の小指を絡めると、私たちは赤くなった目をそのままに、下手くそな笑顔を作った。