第7章 魚人島
『不思議よね…。
それで、兄さん達ね、私を敵だと思って牢の中に入れたの。』
「えぇ!?」
『ふふ、今じゃ信じられないよね。
でも、私の記憶はそこから始まってる。
目が覚めたら牢の中にいて、サッチ兄さんがとっても美味しいスープを持ってきてくれた。
それから少し怖い顔をしたマルコ兄さんが診察してくれて、父さんのところに行ったの。』
「怖くはなかったのですか?」
『うーん、、、確かに少しは怖かったけど、それよりもあの時は混乱してた。
どこかもわからないし、なんで捕まってるかもわからない。
されるがままって感じだった。』
あの時はこんなにみんなのことが大好きになるなんて、想像もできなかったな。
『私が何も覚えてないって知ったら、父さんが娘にならないか、って言ってくれた。
…1人だった私にはとても心強い言葉だった。
自分でも何者か分からない、こんな得体の知れない私を手放しで信じて受け入れてくれた。
父さんは私の全てを救ってくれた大恩人なの。』
忘れもしないあの瞬間。
世界中を探しても、あんなに懐が深く、温かい人はいないと思う。
「…素敵な出会いだったのですね。」
『うん。
…それから、兄さん達とも仲良くなった。
マルコ兄さんは何も知らない私にたくさんの事を教えてくれた。
サッチ兄さんは毎日美味しいご飯を作ってくれて、ビスタ兄さんはいつも私を気遣ってくれた。
ハルタ兄さんは私の運動能力を上げようと毎日毎日指導してくれる。
イゾウ兄さんは右も左もわからない私をいつも優しく導いてくれた。』
『そして、父さんは
私に帰る場所をくれた。』
『私は海賊じゃ無いからみんなの目指す最終地点はハッキリ理解はしてないけど、
私はみんなが居れば他に何もいらない。
家族が何よりの宝物で、みんなが何よりも大切で、ここに居られるだけで幸せ。』
私はそう言ってしらほしとメガロを見上げた。