第7章 魚人島
菜々美を人魚姫の元へ行かせてから今日もまた友と語らう。
話題が尽きることはない。
「…して、しらほし達はどうしておるだろうな、、、」
「菜々美の奴は随分と塞ぎ込んでいた。
一時はもう会いに行かないとまで言っていた。」
「なんと…そんな心配は無用じゃもん。」
「あぁ。それは俺も息子達もわかってはいる。」
魚人にもいい奴と悪い奴がいる。
人間も同じだ。
全ての人間が悪ではない、全ての魚人が悪ではない。
いくら過去に暗い歴史があろうと、この島の多くの者たちはそれを知っている。
その上で俺たちを歓迎してくれる、強い奴らだ。
「だがな、菜々美はあまりに世界を、人を知らねぇ。」
人であることを恥じ、悔しさを滲ませていた菜々美の表情が頭から離れない。
「…しかし、それ故に彼女は儂ら魚人族を個人として見ることが出来る。
これこそ、オトヒメの言っていたことだ。
【何も知らない子供達がこれからを担う。】
…人間も魚人も、皆が彼女のように互いを個人として見ることができれば良いのだが、、、」
ネプチューンは遠くを見ながらそう語る。
「…いずれにせよ、菜々美と人魚姫は大丈夫だろう。
なんせ俺とお前の娘たちだ。」
「当たり前じゃもん。」
「グララララ」
俺はまた、盃を煽った。