第7章 魚人島
次の日、
「菜々美、一緒に行くぞ。」
父さんはそう言って私の部屋の前に訪れた。
逃げられる術はないのは明確で、私は大人しく部屋から出た。
でも、やっぱり顔を上げることは出来なくて、じっと靴の先を見ながら歩いてリュウグウノツカイに乗って城へ向かった。
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「菜々美。
必ず人魚姫と話してくるんだ。
人魚姫だって本当にお前と友になりたくないなら親の墓参りなんか頼む訳がねぇ。
…安心してぶつかってこい。
嫌われるときゃ俺も一緒だ。」
父さんはそう言って私の頭を撫で、ネプチューン王の待つ部屋へと行ってしまった。
私はぎこちない笑顔を父さんに向けて、甲殻塔の方へと足を進める。
ドクン、ドクン、ドクン
心臓の音が鼓膜を揺らす。
『…』
コンコンコン
『しらほし、私。』
ギィ…
大きな音を立てて鋼鉄の扉がゆっくりと開いた。