第7章 魚人島
「…菜々美様、菜々美様がよろしければ、本日は海の森へ行かれませんか?」
『え?』
涙も止まり、落ち着いてきたころ、しらほしは急に私にそう言った。
「…あ、本当に菜々美様が良ければ、の話ですが、、、」
『や、海の森に行くのは全然いいんだけど、、どうして?』
そこはしらほしが行きたかった場所のはず…
「あの、こんなお願いは差し出がましいですが、、わたくしの代わりにお墓参りに行って欲しいのです。」
『…お母様の?』
「はい。8年前に亡くなりました。
…お葬式にも出られなくて、ずっと逢えていないんです。」
『…私が行ってもいいの?』
「菜々美様に行って欲しいのです。
あの、、その際、このお手紙をお母様の墓前に、、」
震えるしらほしの手の中には、私が持てるように小さな字で書いたであろう手紙が載っていた。
…しらほしの身長ならこんなに小さな紙に手紙を書くのも苦労しただろうに、、、
わたしはその手紙をしっかりと受け取った。
『…わかった。必ず届けるわ。』
「!ありがとうございます!!」
私はしらほしに笑顔を向けると、再び父さん達のいる部屋へと向かった。