第2章 目覚めた先は
「ほら、菜々美。こっちだよい。」
『ありがとうございます。』
眠たそうな人は私の手を引いてくれる。
さっき合わせた目は、初めの頃とは違って、優しかった。
「悪かったねぃ。牢に入れた上に手錠までして、、、怖かったろ。」
『いえ、大丈夫です。』
「クルーはみんな家族だから、何かあったらって思うと、警戒しちまって、、、」
『気にしないでください。確かに、目が覚めたら牢屋の中でびっくりしたけど、、、警戒する気持ちもわかります。
家族、、ですもんね。』
家族。
きっとなによりも大切なものなんだろう。
いきなり素性も知れない血まみれの女が現れたら警戒もするだろう。
「そう言ってもらえて助かるよい。
俺はマルコ。1番隊隊長をやってる。一応船医だ。心配事があったら何でもいってくれよい。」
『はい。黒咲菜々美と言います。よろしくお願いします。』
1番隊?センイ?
…自己紹介の時点であまりわかってないけど、、、後でゆっくり聞こう。
「ついたよい。ウチは1600人の大所帯だ。
まずは隊長達から覚えていくといいよい。」
『1、600人、』
ここにはそんなに人がいるのか、、、軽く眩暈がする。
「あーっ!マルコ!何手なんか繋いでんだよ!!」
「サッチ!うるせぇよい!!
…菜々美、コイツはサッチ。変態の女好きだから無視して良い。」
「オイ、マルコ!!余計なこと言うなよ!」
マルコさんとギャーギャー言い合っているのは、私にスープくれた優しそうだけど頭のカツラが重たそうな人。
ここにきて最初に見た人だ。
「菜々美ちゃん、で、あってるよな。
俺はサッチだ!4番隊の隊長で、コックをやってる。
腹が減ったらいつでも俺に言えよ!菜々美ちゃんならいつでも作ってやる!」
『あ、えっと、、、サッチ、さん。
菜々美です。よろしくお願いします。』
「くぅぁぁぁあ!女の子だ!良いなぁ。若い子に名前呼ばれるってのは!!」
「サッチキモイ。」
「アァ!?」
「あ、僕はハルタ。12番隊隊長だよ。
フランスパンになんかされたらすぐにおいで。あのリーゼントぶった斬ってやるから。」
王子様みたいな格好をしてる人はハルタさん。
ここの人たちは個性が強くて覚えやすいな。