第7章 魚人島
「グララララ、なんだサッチ。またマルコ怒らせたのか?
吊られるほどのことたぁ、久々だな。」
愉快そうに笑ってそういうオヤジ。
やはりオヤジの周りに菜々美は見当たらない。
「オヤジ!俺だけじゃねぇ!マルコも悪いんだ!!」
「あぁ!?」
「それに俺を吊ったのはイゾウとハルタだ!
アイツら人が帰ってくるなりいきなり縛りやがって!!」
「グララララ!!あの2人を怒らせるとは益々大事だな。
なにやらかした?
場合によっちゃ下ろしてやろう。」
「本当か!」
サッチが嬉しそうに食いつく。
…コイツが降ろされるのはかなり癪だが、そろそろ暇で死にそうだった。
俺も解放されたい。
「あのフランスパンは菜々美の水着見て鼻の下伸ばしてた挙句鼻血まで出しやがった変態だよ。
しかも菜々美引っ張ってマルコごと海に落としたらしいし。」
「あぁ。忘れちゃいけないのがそこの長男も自分のシャツ着た菜々美見て顔真っ赤にしてたな。
濡れてて水着透けてたから余計にな。」
「…ほぅ。」
どこからか颯爽と現れたハルタとイゾウ。
2人はサッチの代わりにそう代弁する。
…チッ、イゾウのやつ…俺の分もチクリやがった。
オヤジは目を細めて俺たち2人を見る。
「そりゃあ重大な問題だな。
サッチはもう少し頭冷えるまでそのままだ。」
「えぇーー!!俺もう1時間はこのままだったんだぜ?」
「んなこたぁ知るかアホンダラ。反省しやがれ。
…マルコは、もういいだろう。」
オヤジはそう言うとさっさと向こうへ歩いて行く。
よっしゃ、やっと自由だ。
と、イゾウがその背中に声をかけた。
「オヤジ!菜々美と一緒じゃねぇのか?
竜宮城へ行ったはずなんだが…」
「あぁ。菜々美なら人魚姫のとこで泊まる。
2人揃って寝ちまったらしくてな。」
「へぇ、随分仲良くなったね。」
「そうだな。
いずれは俺とネプチューンのような友になるかもしれねぇな。」
俺たちは上空に浮かぶ城を眺めながらそう言った。
視界に入るフランスパンは無視した。
星は見えないがここの夜空も美しい。