第7章 魚人島
「…そろそろ夜更けだ。
お主今日はここに泊まって行くか?」
「んや、菜々美もここにいることだ。
連れて帰るとしよう。」
「そうか。ではリュウグウノツカイを出そう。」
ネプチューンが部下の1人を呼ぼうとしたその時。
「国王様、白ひげ殿、失礼します。」
ガチャリ
そう言って顔を出したのは先程の部下。
どうしたのだろうか。
「あの、しらほし姫と菜々美さんのことなのですが…
どうやらお二人共お部屋で眠ってしまわれたようで……」
「なんと。」
「ほぅ。」
「…どう致しましょうか。」
少し困ったようにそういう部下。
だが、少し嬉しそうな表情も垣間見える。
「グララララ、そうかそうか。
…それじゃあネプチューンよ。菜々美だけ泊まってもいいか?」
「もちろんじゃもん。
しらほしが友人と寝泊まりするのもまた初めての経験。
嬉しいのう。」
「グラララ、そうだな。
俺ァ息子たちにその旨伝えに帰ろう。」
俺はネプチューンが用意したリュウグウノツカイに乗る前に、娘たちの眠る甲殻塔の扉を少しだけ開き、中の様子を見た。
…ネプチューンの娘も前に見た時よりも大きく、美しく成長していた。どことなくオトヒメの面影を感じる。
そしてその隣に眠る菜々美。
人魚姫の指をキュッと抱いて眠っていた。
なんとも可愛らしく微笑ましい2人の様子を眺め、俺は船に戻った。