第7章 魚人島
『ねぇ、兄さん、どうして魚人島は深海なのにこんなに明るいの?
雲もあるし、、、』
カラフルな街を歩みながら、隣をゆく兄さんの顔を見上げてそう問う。
「それはな、陽樹イヴっていう巨大な木があってな、、、
レッドラインは知ってるか?」
『うん。世界を二つに分かつ、高くて巨大な大陸でしょ?』
「あぁそうだ。
陽樹イヴはここの真上の聖地マリージョアに生えた巨大な木で、その根がこの魚人島まで続いている。
そして、イヴはマリージョアで受けた太陽の光を根を伝って魚人島まで伝えてくれるんだ。」
『へぇ…すごい、』
「世界にはイヴのような偉大な木がいくつかあるんだ。
詳しいことはしらねぇが、宝樹アダムってのもあるらしい。」
『そんな凄い木がまだあるなんて、、、』
と、珊瑚の建物がなくなって、開けた場所に出た。
『わぁっ!』
そこには沢山の美人な人魚さんたち。
キラキラと輝く水滴と、お魚と一緒に華麗に泳ぐ人魚たちが本当に綺麗で思わず見惚れてしまう。
「ここは人魚の入り江だ。
マーメイドカフェに務める人魚たちがよく集まっている。」
『凄い綺麗………
ねぇ、兄さん。あのストローみたいなのって何?』
「あぁ、あれか。
…みてろよ?」
ドボン!
兄さんは躊躇いもなく海の中に潜ると、ストローのような管の方へ泳いでいく。
「こうやって空も泳げるようになってるんだ。
【ウォーターロード】って言って、魚たちも好きに泳げる道だ。」
『へぇ…凄い!!
…このぷにぷに、、、船のコーティングと同じやつ?』
「そうだ。魚人島もシャボン文化が盛んなんだ。」
ウォーターロードの壁をぷにぷにと突いていると、パシャリと音を立てて兄さんが上がってきた。
『魚人島って本当に夢みたいな島ね。』
「夢みたい、か。
確かに、普通に生きてりゃ見れない光景ばかりだな。」
『ふふ、本当に。』
私はサンダルを脱いで足だけ水につけてパシャパシャと蹴った。