第7章 魚人島
『ん…?』
「んあ?起こしちまったか。
悪いな、ちとうるさかったか?」
胸元でもぞもぞと暖かくて小さな体が動いた。
俺たちの笑い声で目が覚めたらしい。
『…?父さん…』
まだ頭がぼんやりしているのだろう。
目を擦りながらキョロキョロと周りを見回す。
と、大きな目がさらに見開かれ、こぼれ落ちるんじゃ無いかというほど広げた瞳がこちらを向いた。
『父さん!しらほしは!?』
「ん?しらほし?…あぁ、人魚姫の名か。
人魚姫も無事だ。お前同様寝てしまって今は王子が一緒らしい。」
『っ、そう、、、よかった…』
人魚姫の無事を聞くと力が抜けたようにまた俺の腕の中に大人しく収まった菜々美。
胸元に少し当たる髪がこそばゆいが、その頭を撫でると嬉しそうに笑う菜々美を下そうという気にはなれない。
「…娘と仲良くしてくれたようなのじゃもん。」
『!』
ネプチューンが菜々美にそう声をかけると、ピクリと肩を揺らしてその方向を見る。
と、途端に顔を真っ赤にして俺の腕の中から出ようともがく。
『と、父さん!下ろして//』
「何故だ?」
『人前でなんて恥ずかしい//』
「グララララ!んなこと気にすんな!!」
『気にする!!!』
頬を膨らませて顔を赤くして怒る菜々美は宛らタコのようだが、あまり恥ずかしがるので下ろしてやった。
…嫌われたくはない。
「邪魔が入ってしまったが、しらほしとは色々と話せたか?
しらほしは同じ年頃の娘と話すのは初めてなんじゃもん。」
『はい!お友達になりました!!』
「なんと!それはいいんじゃもん。」
「ほう、人魚姫と友達になったか。中々やるじゃねぇか。」
なんだかんだ言っても、菜々美も年下の娘と話すのは初めてだ。
ナースと話しているのはたまに見かけるが、新鮮だったろう。
よっぽど楽しかったのがその横顔から見て取れる。
『沢山お話ししたの!楽しかった〜
またしらほしが元気になったらお話ししに行ってもいいですか?』
「!もちろんなんじゃもん!!
歓迎するんじゃもん!」
「グララララ!さすが俺の娘だ!」