第7章 魚人島
「確か、マトマトの実だったか、、、」
「そうなんじゃもん。
どこからでもしらほしめがけてモノを飛ばせる。
厄介な能力者なんじゃもん。」
自身の胸元ですやすやと寝息を立てる菜々美から目の前の友へ視線を向け、世界最強の男はそう話す。
「どれ、俺たちがソイツを倒して来ようか。」
実際、この男にはそれが可能だ。
相手が誰だろうが、倒すことができる。
それがまさに、世界最強の男と呼ばれる所以。
「いや、それは遠慮しておくんじゃもん。
これは魚人族の問題。そなたらの力を借りる訳にはいかんのじゃもん。」
「そうか…」
「ネプチューン王、申し訳ありません。
儂が倒すべき相手にもかかわらず、未だに情報が掴めず…」
「ジンベエ、よすんじゃもん。
お主は十分この島を守っておる。嫌いな政府にも降り、、、
…本来はこの国が自分で立てるようにならねばならぬのだ、、
しらほしの件も、人攫いの件も、、、」
「ネプチューン王…」
決して魚人島の兵力は弱くない。
寧ろ水中で無力な人間に比べれば何倍もその身体能力は上だ。
しかし、ここへ訪れる海賊たちもまた強い。
グランドラインを駆け、シャボンディに集まった精鋭たち。さらにその中から魚人島への航路を無事に渡れた屈強な海賊たち。
普通の人間とは訳が違う。
「お前がそう言うなら今回は引くが、、、また何かあればすぐに連絡を寄越せ。」
「それほどに力強い言葉はないんじゃもん。
…本当にいつも助けられてばかりで申し訳ないんじゃもん。」
「グララララ!
何、そんな大層なこたぁしてねぇ!
友の国を守るってのは最高にいい気分だ!!
友を助けるのに理由が必要か?」
「っ!グッ、、オヤジさん、、、ズズッ」
「…儂は本当に良い友を持ったものじゃもん。
ニューゲートにロジャー。2人は儂の最高の友じゃもん。」
「グララララ!違ェねぇ!!
まぁ、俺とロジャーは敵だかな」
「儂からしたら似たようなもんじゃもん。」
2人の大男の豪快な笑い声と、ひっそりと聞こえる1人分の嗚咽は宴会場にいる全ての人間の顔を綻ばせた。