第7章 魚人島
「っと、、、寝てしまったか…」
泣き疲れたのか、カクンと頭が下がり、慌ててそれを支える。
こうしてみるとやはり菜々美は俺たちのような奴らとは違う、海賊要素なんか欠片も無い、ただの女の子なんだと実感する。
「しらほしもだ、、、」
フカボシの方を見ると大きくて小さな人魚姫は目を腫らしてふかふかのクッションに埋もれて眠っている。
「…あんな攻撃がいつもなのか?」
「あぁ。…だが、この扉が開いているとはな。
先程少し見たが、当たりどころが悪く、甲殻塔の揺れで扉の枠が曲がってしまったようだ。」
「そうか。まぁ何にせよ、間に合ってよかったよ。」
俺は抱きやすいように菜々美の体勢を変えると、菜々美は俺の胸元に擦り寄ってきて安心したようにまた穏やかな息を吐く。
「すまない。私たちの事情に彼女を巻き込んでしまった。
それに、彼女はしらほしを守ろうとしていたようだったな。
そのことについても礼を言う。」
「いや、お前が謝ることない。
姫こそ菜々美を逃がそうと声を上げてくれていた。
こちらからも礼を言う。」
俺たちは互いに笑みを浮かべてすやすやと眠る妹の表情を眺めた。
「私はもう少しここに居ようと思う。
扉の修繕もそうだが、しらほしが起きた時に側にいてやりたい。」
「そうか。俺はオヤジの元へ戻るとしよう。
ネプチューン王にもその旨伝えておく。」
「助かる。」
そんな短い会話を終え、俺は菜々美を抱いたまま甲殻塔を後にし、再び宴会場への道を歩いた。