第7章 魚人島
「…」
『…』
フカボシ王子様が出て行ったあと、私たちの間には沈黙が流れる。
…お姫様となんて話したこともないのに、、、何から話したらいいんだろう
「あ、あの!」
私が頭の中であれやこれやと考えを巡らせていると、しらほし姫様が口を開いた。
「あの、菜々美様、は、、、地上から来られたのです、よね、、、」
しらほし姫様はまだ少し潤んだ瞳で私を見つめる。
その目は先ほどとは違い、少しの期待が見える。
『はい。そうです。』
「でしたら!タイヨウをご覧になったことはありますか?」
タイヨウ…
太陽か!
『はい。』
「まぁ!それは羨ましゅうございます!!
私いつか地上へ行きタイヨウを見るのが夢なのです。」
しらほし姫様は先ほどとは一転してキラキラと瞳を輝かせながら地上に対する夢を語った。
「その他にも緑のお森というところや、お体が毛だらけのお動物というものも見てみたいのです。
菜々美様、良ければ地上でのお話を聞かせてくださいませ。」
『はい。そんなことでいいなら。』
私は父さんたちと出会ってからの旅の日々をしらほし姫様に話した。
しらほし姫様は私の拙い話にも興味を持って聞いて下さって、時には笑ってくれた。
「ふふ、地上にはそのような面白いものがあるのですね。」
『しらほし姫様。よろしければ私にも海底のことをお教えいただけますか?』
「はい。もちろん。」
しらほし姫様は海底の文化や、人魚の遊泳速度について、魚人族と人魚族は魚と話せること、それから人魚と魚人の遺伝の仕方など沢山のことを教えてくださった。
「ただ、魚人島の観光地などはわたくしには分かりかねます。
…海底にも綺麗なところは沢山ありますが、、、私はここから出ること叶いませんので…」
しらほし姫様は悲しげにそう言って俯いた。
…確か、海賊に訳あって狙われているのだったか。
『…気になさらないでください。
しらほし姫様とおはなしするだけで私は楽しいです。』
私はそう言ってしらほし姫様の大きな手に触れた。