第7章 魚人島
「菜々美!オヤジが呼んでるぞ!!」
『父さんが?…わかった!すぐ行く!!』
…とは返事をしたものの、、、このシャボンから一歩出れば海…。
泳げないわけではないけど、父さんの元へ行くまでは流石に息がもたない。
『…どうしよ。』
私はワタワタとシャボンと海の境目を行ったり来たりしながら頭を捻っていた。
「菜々美?」
『ナミュール兄さん…』
すると、海の方からナミュール兄さんが泳いできた。
流石魚人。海の中でも本当に普通に生活できるんだ。
「どうかしたのか?」
『父さんに呼ばれたんだけど、私あそこまで行けなくて、、、どうしよう…』
「あぁ。そういうことか。
…俺が連れて行ってやる。待ってろよ、、、」
兄さんは腰のポッケからゴソゴソと何かを探す。
ポッケから出てきたのはピンク色の小さな珊瑚。
兄さんはそれの上部をボタンを押すように押すと、下部からぷくっとシャボンが出てきた。
そのシャボンを私のいるシャボンの境にくっつけた。
「これで海に出らずにこのシャボンに移れる。
そしたらそのまま運んでやるから、こっちに来い。」
『うん!ありがとう、ナミュール兄さん。』
私はナミュール兄さんの支えるシャボンに乗り移った。
シャボンに直接触れると意外と頑丈で、息も問題なくできる。
兄さんはそれを押してスイスイと水中を泳いで行き、あっという間に父さんの元へ到着した。
「グラララ!ご苦労、ナミュール。」
『ありがとう!』
「あぁ!じゃあゆっくりな!」
兄さんはそう言うと再び宴の喧騒の中へ帰って行った。
私は父さんの隣に並ぶ。
目の前にはさっき見かけた王様と、魚人の方が1人、あとは男性の人魚が3人。
…私、どうして呼ばれたのかな?