第6章 海底10000メートルの楽園へ
だいぶその風景に慣れてきた頃、私は甲板に座って色んな魚達を見ていた。
「どうだ?綺麗だろう?」
『うん。自然の水族館みたい。』
「水族館か…確かにそうだな、、、」
ジョズ兄さんと2人でのんびりと景色を見ながら話していると、コートを持ったマルコ兄さんが隣に座った。
「菜々美、そろそろ寒くなる。
これ羽織っとけよい。」
『うん。やっぱり深海って寒いんだ。』
「まぁ、それもあるが…海流に乗るために冬の地域の海域を目指すからだよい。」
『?どう言うこと?』
「それはな、、、」
「マルコ、菜々美にゃちと難しいんじゃねぇか?」
「大丈夫さ。菜々美は賢いからな。
知識は邪魔にならねぇ。菜々美みたいに学ぶことを嫌わない奴なら、教えれば教えるだけ自分の力になるよい。」
『うん!教えてほしい!』
「もちろんいいさ。」
マルコ兄さんはどこからか紙とペンを出してきてそれに簡単な絵を描いていく。
「俺たちは今、ただ沈んでいるわけじゃなくて、海流に乗ってるんだよい。
海流ってのは世界中のどこかで必ず繋がっていて、魚人島に行くための海流のように深海へと向かう海流も存在する。」
『うん。』
「…ここでひとつ問題だ。水が下へ向かうにはその水は暖かい方がいいか冷たい方がいいか、どっちだと思う?」
『冷たい方。…あ、だから冬島の海域に進むんだ!
そこで冷やされた水が深海へ沈み込むから!!』
「正解だ!!やっぱり菜々美は賢いな、、、
教え甲斐がある。」
『へへ、嬉しい!』
マルコ兄さんはいつも勉強会の時、私が正解したら嬉しそうに笑って沢山褒めてくれる。
私もその笑顔が嬉しくてこれからももっと頑張ろうって思えるんだ。