第5章 新世界の航海
『うーん、どれにしようかな…』
私は部屋に広げた服を眺めながら頭を捻る。
船に居た時は結構動くから動きやすい服ばかりだったけど、せっかく前にビスタ兄さんがくれたんだし、たまにはお洒落な洋服も着たい。
『よし!これにしよ!』
私は動くとふわりと裾が広がる膝下丈の白のワンピースを選び、ウエストに飾りのリボンを締めた。
いつも纏めている髪は真っ直ぐ下ろして、靴は少しヒールのあるサンダルにしよう。
次の島は春島だけど季節は夏。
涼しい方が良さそうだ。
私は小さめのカバンとツバの広い帽子を手に取り、甲板で待つイゾウ兄さんの元へ走った。
『イゾウ兄さんおまたせ!!』
「ん?おぉ!今日はまた一段と綺麗だな。」
『ふふ、せっかく島に行けるんだもの。
ちょっとおしゃれしちゃった。』
「あぁ。とても似合ってる。」
イゾウ兄さんはそう言って流れるような仕草で私の髪を一房取ってその先に軽くキスを落とした。
あまりに自然な流れで思わず顔を手で覆う。
「さぁ、行こうか。」
『う、うん…』
私は差し伸べられた手を取って、赤い顔を帽子で隠しながら階段へ向かった。